近年問題視されている「海洋プラスチックごみ」 その解決に向けて最大の課題となるのが
「回収したプラスチックごみをどう利用するか」です。
プラスチックごみといっても素材や形状もバラバラで
品質に安定性がないため、リサイクルが難しいことが課題となっています。
そんな不揃いのプラスチックごみの特徴を逆手にとって
2019年に誕生したサステナブルなアクセサリーブランド「カエルデザイン」
今回は、カエルデザイン クリエイティブディレクター 高柳豊 様に
海洋ごみを回収してアップサイクルすることの意味・意義についてお話いただきます。
カエルデザイン クリエイティブディレクター 高柳豊
カエルデザインwithリハスは3人のクリエイターのチーム、カエルデザインと、様々な障がいを持つ人たちがパートナーとなって、廃棄されるマイクロプラスチックなどの海洋プラスチックやフラワーロス(廃棄花)などを回収し、アクセサリーに加工する、アップサイクルブランドです。
私たちは2019年の秋から、
海岸でマイクロプラスチックなどの海洋プラスチックを回収してアクセサリーにアップサイクルしていますが、
海岸で1人が手作業で1時間に拾える海洋プラスチックの量は、
海岸の地理的要因や時期(台風や嵐の後など)にも左右されますが、
せいぜい500グラムとか多くて1キロほどでしょうか。
10人で1時間かけて5キロから10キロが限界だと思います。
仮に10人が1日1時間、年間200日、海洋プラスチックの回収作業を行うとして、
最大2トンとなります。
では1950年頃から海に流れ込み,海洋に蓄積したプラスチックの量はどのくらいか。
1950年以来、現在までのプラスチックの推定生産量は83億トン。
生産されたプラスチックごみが海に漏れ出す率はおよそ3%と推定されていて、そうすると海洋に流出したプラごみの総量は,推定2億5000万トン(83億トンの3%)。
一方で10人が1年かけて回収するマイクロプラスチックはせいぜいが2トン。
2億5000万トンに対して、わずか2トン。
それって虚しいことでしょうか?
意味が無いことでしょうか?
1人ひとりの人間が出したプラスチックゴミならば、1人ひとりの力が合わさって、つながって、続けば、きっと目に見えて減らせる。私たちはそう信じています。
海底に沈んでしまったプラスチックは大変だけれど、
海岸にあるプラスチックを回収する作業は年齢性別、障害がある無し関係なくほとんどの人ができることです。
人間が地球を汚し、危機的な状況にしてしまった。
そして、地球を救えるのも、人間しかいない。
私たちはそんな思いでこのプロジェクトを行っています。
そして、それに共感してくださって、全国で海洋プラスチックを回収して送ってくださる仲間が増えています。そんな仲間が全国で増えれば増えるほど、海洋プラスチックは減っていきます。
私たちが海洋プラスチック問題にたいしてできることは、ただ2つ。
1つはプラスチックゴミを出さない。
もう1つは流れ出てしまったプラスチックを拾うこと。
それは誰でもできることで、そして人間にしかできないことなのです。
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